▶ 川崎臨海部の企業の一部を紹介⑤

株式会社JERA(川崎火力発電所)

▶ 株式会社JERA

日本最大の発電会社で、国内の発電電力量の約30%の電気を発電し、国内火力発電所の4分の1を保有しています。

発電の燃料として使用している液化天然ガス(LNG)は、日本全体での使用量の約40%を調達しています。

2050年には二酸化炭素の排出量をゼロにすることを目標にしています。

▶ 川崎火力発電所

川崎火力発電所は、1961年に石炭火力発電所として誕生し、その後、石炭、ナフサ、LNGと、その当時の最先端の技術を積極的に取り入れ、首都圏や京浜コンビナートへ電力供給をしてきました。

敷地面積は、28万㎡(東京ドーム6個分)です。

総出力は、342万kWで、一般世帯約98万世帯で使用できる電気を作っています。(川崎市の世帯数は現在、約78万世帯)

川崎火力発電所の設備概要
川崎火力発電所の出力、使用機種、運転開始時期を書いた表
JERAの写真

発電方式は、LNGを燃料として、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた「コンバインドサイクル発電」です。熱効率(燃料100のうち、何%電気にできるか)は約61%で、世界最高水準の熱効率の高いLNG火力発電所です。

発電設備は合計6台、燃焼ガス温度の高温化(1,500℃級、1,600℃級)で熱効率を向上させてます。

使用している発電設備の写真

コンバインドサイクル発電

コンバインドサイクル発電は、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた発電方式です。空気圧縮機により圧縮した空気の中で燃料を燃やし、燃焼ガスを発生させ、その膨張力を利用して発電機を回すガスタービン発電と、その排ガスの熱により生まれた蒸気により蒸気タービンを回す汽力発電を組み合わせて発電することにより、高い熱効率を得ることができます。

現在のコンバインドサイクル発電は、それまでの発電方式と比べ、燃料使用量と二酸化炭素(CO2)の排出量を約30%減らしました。

コンバインドサイクル発電の仕組みの図

ガスタービン

ガスタービンは、燃焼ガス温度の高温化(MACCで1500℃、MACCⅡで1600℃)により熱効率を向上。ガスタービンの動翼には熱に強い材質・空気による冷却・遮熱コーティングによる保護の技術により、燃焼ガス温度の高温化を実現しています。

ガスタービンの写真

排熱回収ボイラー

排熱回収ボイラーは、ガスタービンの約620℃の排ガスと水の熱交換により蒸気を発生する設備で、その蒸気は蒸気タービンに送られます。MACCⅡの排熱回収ボイラーは重量8000t級で、毎時720tの蒸気を作る能力があります。

発熱回収ボイラーの写真

煙突

煙突の高さは、他の発電所は200m級ですが、川崎火力発電所は85mです。これは、羽田空港が近隣にあることから、航空機の運航に支障のない高さとするためです。窒素酸化物は、排熱回収ボイラーの脱硝装置により5ppm以下まで取り除かれ、環境に配慮したガスを煙突から排出しています。

煙突の写真

中央制御室

中央制御室では発電所全体の運転・監視をしており、1班4名の4班体制で、2交替勤務により、24時間365日、休むことなく電気を送り続けています。

中央制御室の写真

蒸気供給

発電に使用される蒸気の一部を取り出し、地域に敷設された配管を通じて、近隣企業へ蒸気の供給をしています。蒸気の有効活用により、各企業がそれぞれ蒸気を作る場合と比較し、地域全体における省エネルギーとCO2削減を実現しています。

蒸気供給配管の写真

構内緑化

法律(工場立地法)で、敷地の20%以上の緑化が義務づけられていますが、川崎火力発電所は敷地の25%を緑化しています。2017年に完成したため、樹木はまだ小さいですが、将来は緑あふれる環境にやさしい発電所になる予定です。

敷地の構内緑化の様子の写真
川崎臨海部の企業の
一部を紹介!