① 川崎臨海部 はカーボンニュートラルコンビナートを目指 しています
地球温暖化 が、現在、世界の重要な課題となっています。地球全体の平均 気温が上がることを「地球温暖化 」といいます。地球温暖化 が進むと、今までにないレベルの猛暑 や大雨などの異常気象 が増加 するなど、地球全体で問題が発生することが心配されています。
石油や石炭、天然ガスを燃 やして電気をつくったり、自動車や飛行機を動かしたりすると、二酸化炭素 (CO2)やメタンなどの温室効果 ガスが空気中に増 えていきます。
この温室効果 ガスが増 えすぎると、太陽からの熱が宇宙 に逃げずに地球の表面にどんどんたまってしまい、地球の気温が上がると言われています。「温室効果 ガス」の増加 が、地球温暖化 の主な原因 と考えられています。
温室効果 ガスで最も地球温暖化 へのえいきょうが大きいのが二酸化炭素 (CO2)です。石炭や石油などを化石燃料 と言いますが、化石燃料 を燃 やすと二酸化炭素 (CO2)が発生します。工場や発電所、家庭、自動車などで、石炭や石油などをが燃 やされ、二酸化炭素 (CO2)が発生しています。
そのため、世界では、二酸化炭素 (CO2)の排出 を問題と考え、二酸化炭素 (CO2)を減 らす方法について議論 しているのです。
二酸化炭素 (CO2)を始めとする温室効果ガスの排出量 から「吸収 する量」と「除去 する量」を差し引いた合計がゼロになった状態を「カーボンニュートラル」と言います。カーボンは炭素 、ニュートラルは中立という意味です。
カーボンニュートラルであれば、大気中の二酸化炭素 (CO2)は増えないので、温暖化 の対策 として有効です。地球温暖化 は急いで対策しなければならないこととされ、国はカーボンニュートラルを目標 としています。
川崎臨海部 では発電や工場の製造活動 で必要な熱などのエネルギーとして石炭や石油、天然ガスなどの化石燃料 を多く利用しています。
川崎市の排出量 のうち、川崎臨海部 の主だった会社による排出量 は73%ですので、川崎臨海部 では、温室効果 ガスを減らすことが大きな課題となっています。
小山堅編(2023年)「エネルギー業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書」技術評論社
環境省(2019年)「こども環境白書」
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ア. 水素 を使って
できること -
イ. 川崎臨海部 が目指 す
コンビナートの未来
▶ 水素 で変わる川崎臨海部
水素 は、空気と同じ気体です。色もにおいも味もしません。空気と比べると、約14分の1の軽さで、一番軽い気体です。水素 は気体ですが、マイナス253度(℃)まで冷やすと、液体 になります。様々な資源 に含まれているため、地球上にたくさんあります。
水素 を燃 やして出てくるものは水だけです。環境に有害な物資 は全く出てこないのです。
そのため、地球温暖化 の問題を解決 できる、究極のクリーンなエネルギーとして、「水素 」に大きな期待が寄 せられています。
西宮伸幸著(2021年)「〔カーボンニュートラル〕水素社会入門」河出書房新社
▶ 現在のコンビナートは
現在は、海外から石油や天然 ガス、石炭を輸入し、それを原料として、発電したり、素材 を作っていますので、川崎臨海部 は、市内で最も多くの温室効果 ガスを排出 しているエリアとなっています。
▶ 2050年の川崎臨海部のコンビナートのイメージ
温室効果 ガスの発生を減 らしながら、生産活動を行うために、海外から水素 を輸入 して、それを原料に発電したり、プラスチックのごみや二酸化炭素 (CO2)から素材 や製品 を作るなど、資源 を捨 てないで、もう一度資源 としてもどしていく仕組みを作ろうとしています。
▶ 新たな資源循環の仕組み
また、プラスチックなどの私たちに身近な石油化学製品 は炭素(C)と水素 が結びつき、あらゆる構造を作ることで多機能な製品 を作っています。
そのため、CO2の削減に向けては、CO2自体も資源として循環させていくこと (カーボンリサイクル)を可能とする技術開発が進められています。
カーボンニュートラルと合わせて注目されているサーキュラーエコノミーは、モノやサービスを生み出す段階から、リサイクル・再利用等を前提に設計し、できる限り新たな資源の投入量を抑えることを目指す経済活動のことを指します。
あらゆる製品 の製造拠点 である石油化学コンビナートもそのようなビジネスのあり方、仕組みづくりが求められています。